平岡仁さんの窯詰めは作品を見る目が変わります。
2017年12月のある日。
和歌山県にある平岡仁さんの工房に
窯詰めの様子を見学に行きました。
前々から窯詰めのときが一番神経使う…というのは
聞いていたので、じゃまにならないようにしなくてはと
ちょっと緊張して向かいました。
いつもはがらんと広い工房も、この日は窯詰め待ちの
うつわでいっぱいでした。
相変わらず迫力のある窯がお出迎え。
平岡さんに窯詰めや窯焚きをする上での気持ちの持ちようを
尋ねると「とにもかくにも、後悔のないように」と。
この窯をつかって焚くのは年2回。
薪の準備から始まり、作陶用の土をご自身で作って、
そのあと作品づくり。
毎回1500〜2000点程度の作りためた作品を1週間ほどかけて詰め、
その後、ゆっくりと温度をあげていき1週間ほど焼き続けます。
そしてまた同じ1週間ほどかけて温度を下げていき、
取り出した作品のひとつひとつを今度は3週間かけて
手入れしていきます。
文字で書くと数行のことですが、半年かけてとにかく後悔のないように
毎回あらゆる工夫をして段取りをしていくそうです。
そしてそれらの作業の中でも、窯詰めが一番好きな作業だそうで、
備前焼の陶芸家の間では「窯詰めで窯を焚いとけ」と言われているように
この作業が作品の出来を左右するのだそう。
焼締のうつわは、絵付けのようなわかりやすさはなく
火のあたり具合、灰のかかり具合で「景色」をつくっていきます。
その景色を作る上で、大切な作業が窯詰めで、
それは絵付けのようなものだそうです。
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実際に作業を拝見させていただくことに。
藁を切って、皿の上に置きます。
この藁の部分は、赤いラインとしてお皿に焼きつきます。
前回の窯焚きのときに出た薪の灰。
ゴマと呼ばれ、平岡さんの場合、焼き上がりが黄色くなります。
上にどんどん小さいサイズの皿を重ねていきます。
重なり方で、下の皿の火のあたりや灰のかぶり方が違ってきます。
そして、その小さいものにも藁を。
藁の上にはぼたもちと呼ばれる陶器の板を。
これを載せることで、乗せていないところには灰がかかったり
火が当たったりして、色の変化が生まれます。
ぼたもちも、お手製。たくさんのサイズ展開、枚数です。
徳利も藁でぐるぐる。キレイなラインになるように。
これは鞘という筒を被せて、火が直接当たらないようにしたり、
酸素を遮って、焼き上がりの色の変化をつけます。
こーんなに小さな箸置きも、ひとつひとつ同じ作業を。
しかも、あんなに小さなぼたもちまで。
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藁をまいて、線をいれる。
灰をふりかけて色を変える。
火のあたり方や、鞘で酸素の量を調整して
グラデーションをつくったり、色を変える。
作品の完成図は頭のなかにあって、
窯の中でうつわを重ねたときの景色の付き方をイメージし、
轆轤をひいているときから形やサイズ展開を考えていきます。
それを丁寧に詰め、火をいれていく。
すべては計画的な積み重ね。
土や灰、藁など自然のものを使い、そこに炎のダイナミックさが加わって、
力のあるうつわが焼きあがります。
それでいて荒々しすぎずに、きちんと格好良く、
盛り付ける人が使いやすい料理映えがするうつわを作れるのは
緻密にトライアンドエラーを繰り返して細かくデータにとり、
それを元になんとか自分が思い描くうつわを作ろうとする
平岡さんの…なんといいますか、努力?…ちがうなぁ、うーん。
いい言葉が出てきません。
だけど、そういう作陶に向かう真摯な姿勢が、使う人に対しても向いていて、
それも全部うつわに現れているんだと思います。
どうでしょうか、みなさん。
平岡さんの作品を見る目、変わりませんか?
今回、ここまでの作業を拝見できて、本当に良かったと思いました。
平岡仁さんの個展は、2018年2月3日(土)11時からです。
初日と二日目は平岡さんもいらっしゃいます。
そんな風につくられたうつわ、ぜひ手にとってご覧くださいね。
そして平岡さんといろいろお話してみてくださいね^^
最後に…手入れ。
窯から出しただけの作品には、こんな風に灰がびっしり焼き付いています。
これをひとつひとつ丁寧に削ったり、磨いたり…
そして、あの使い心地のいいうつわが生まれるのです。
今度うつわを手にした時、この状態を思い浮かべてみてくださいね。
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