の、むこう。第8回 の、むこう。第8回

お店番スタッフおーた企画の第8回目。
今回は「飯炊き」についてです。
日々の食事に欠かせないお米まわりにも、やはり妥協はありません。
道具や炊き方へのこだわり、レシピまで、
さいとうさんの思い出を辿りつつ広がっていく
おじさん2人のゆるトーーク。
どうぞ、よろしくお願いいたします。(nagata)

お店番おーたと主夫さいとうが交わす、趣佳とはほとんど関係のない話を不定期にお届けします。

暮らしにまつわる話が中心なので、全く関係がないわけでもない(という願いも込めて)ということで「の、むこう。」という名前にしました。

おーたの「これ、どうなんでしょう?」という大して意味もない質問に、家事好きさいとうが無駄に真剣に語ります。真剣ではありますが、趣佳のことはあまり念頭にありません。

さいとうは家事好きですが、別にカリスマでもスーパーでもないので、これを読んで人生が変わることも、運が向いてくることもないと思います。
多分。

第8回 飯炊け!飯炊く!飯炊こう!

のむこう_飯炊き1

おーたさん

厳しく大変な夏でした。

さいとうさん

絶望的に暑い日が続いて、家事好きのぼくも手抜きでしのぐしかなかったです。

おーたさん

ようやく快適なキャンプシーズン到来ということで、さいとうさん、「飯炊き」ってどうなんでしょう。

さいとうさん

飯炊きへの導入がキャンプの話とは、いささか強引ではないですか?

おーたさん

いえいえ、さいとうさんに教えてもらった「洗い米」をメスティンで炊くので、これ以上の導入はないです。

さいとうさん

キャンプ飯でしたか。
メスティンというのはぼくは使ったことがないので、後で教えてください。
早速、本題に入りますか。

おーたさん

ちょっとその前に聞きたいことがあります。
京都は和食のイメージが強いですが、実際はパン好きだとケンミンショーでも取り上げられていて、意外って思いました。

さいとうさん

そうですね。実際に暮らしてみるとイメージが一人歩きしている感じはあります。
お出汁の効いた和食ばかり食べてはんなりと緑茶を飲んでいるわけでもないので、京都人の食の「くせ」について語ります。

さいとうの語り:京都人の食の「くせ」について語ります。

京都人はパン好きです。
でも支出額の首位は神戸市で、京都市は2位です。パン、と言っても両市の好みはちょっと違っていて、神戸市と比べると「食パン」よりも「他のパン」にお金をかけているのが特徴です(総務省家計調査2019年〜2021年平均)。
我が家の近所にも自転車で少しの距離に10店以上のベーカリーがあります。確かに「食パン」はメインではないです。

ついでに、同じ調査から京都市が支出金額首位の品目を見てみます。

「コーヒー」(飲料):パンにはコーヒーが京都人の好みのようで、紅茶はあまり人気がなくて6位、緑茶に至っては29位です。コーヒー豆だけ売っている自家焙煎のお店が多いのには驚きました。

「牛」(肉類):支出金額は首位ですが、消費量は6位です。量もそれなりですが、割り算すると、単価が高い、という事実が見えてきます。

「うなぎのかば焼き」(調理食品):近所のうなぎ屋には正月に行列ができます。なるほど、という気がします。鱧も有名で、こういうぬるぬるニョロニョロしたのが好きなのでしょうか。

「他の野菜の漬物」(乾物・海藻、大豆加工品等):「他の野菜」というのは、「梅干し、だいこん漬、はくさい漬以外」です。
京都で漬物と言えば、しば漬け、千枚漬け、すぐきのようです。

「バナナ」(果物):理由はちょっとわかりません。京都市は貧乏なので、動物園の餌代もケチっています。もしかしたら動物園のお猿さんたちにお客さんがバナナを差し入れているのではないかと、妄想しています。

 

おーたさん

牛に蒲焼きですか。こってりですね。
ラーメンの名店も多いような気がします。

さいとうさん

あっさりお出汁、ということでもないようです。
でも、調査から立ち現れる京都人の食生活と我が家のそれは随分と違っていて、我が家の主食はあくまでお米です。

おーたさん

さいとうさんには「洗い米」を教えてもらいました。
研いだお米を水を切って冷蔵しておくと便利に使えます。

さいとうさん

お役に立てて何よりです。
それでも、京都での暮らしが長くなるにつれ、我が家でもパンを食べる機会が増えました。外食をした翌日は大抵ぼくが二日酔いで使い物にならないので、調理パンを買っておいて朝はそれで済ませてしまいます。やはりアクセスの容易さは重要だと思います。
とりわけ好きなのが「ベーコンエピ」で、いろんなお店の味を楽しんでいます。

おーたさん

僕も志津屋のカルネは大好物です。

さいとうさん

みたいですね。
でも、今回のテーマはあくまでお米です。

おーたさん

そろそろ本題に入りましょう。
前置きがどんどん長くなってきている気がします。

さいとうさん

「よみもの」だからいいではないですか。急ぐ旅ではなし。
そもそも今これを読んでいる人は忙しい人ではないと思います。

おーたさん

そうは言っても、おじさん二人のグダグダに付き合ってくれる人もそんなにいないと思います。

さいとうさん

・・・(寂しい)。

おーたさん

では。

さいとうさん

我が家では朝夕とも基本的にお米を食べ(昼食は摂らない)、冬の朝は雑炊、夏の朝は素麺を食べます。
これだけならここで紹介するにも値しないのですが、御察しの通り、色々と面倒なことをしているので、ちょっと聞いてもらおうかと(面倒、という自覚は一応あるのです。自分の偏りは偏りとして認識した上で、その偏りに忠実になることが大切だとぼくは考えています)。

さいとうの語り:飯炊きと私について語ります。

黒澤明監督の『七人の侍』では、村を襲う野伏せり(のぶせり)と戦ってくれる侍をお百姓さんが雇うのですが、その報酬は「お米の飯」でした。

宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』で、「千尋」という名を奪われた「千」が、「ハク」がくれたおにぎりをボロボロと大粒の涙を流しながら頬張るのがとても印象的でした。

細田守監督の『サマーウォーズ』では、栄ばあちゃんの遺言に従い、ラブマシーンとの戦に備えて一族でご飯を食べます。大皿に並んでいたのはおにぎりでした。
「あんたならできる!」
ぼくもいまだに励まされています。

お米についてはこれだけでもう充分な気もしますが、それで終わるわけにもいかないので語ります。

でも、全て語ると長くなるので(でも語る、そして長い)、最初に簡単に紹介すると、我が家では玄米を買って家で精米し、炊飯器は持たず、鍋炊きをずっとしていて、おひつがあればなお良し、ということになります。

まあ、それくらいの話です。
食材として玄米、道具として精米機、文化鍋、おひつが登場します。

ではまず、玄米に至る経緯から。
以前住んでいた土地には近くに全農のお店があって、選んだ玄米をその場で精米してくれました。白米だけではなく、七分、五分、三分と好みのつき加減に対応してくれて、最初は白米、やがて七分、五分と恐る恐る白米から離れるようになりました。
五分までなら白米と同じ炊き方で炊くことができました。

選択肢がある、それを知っているだけで、人生は随分と違う表情を見せてくれます。

そこから玄米まではちょっと距離があって、鍋炊きだと1時間はかかるので手を出せませんでした。それでもやはり興味はあったので、やがて玄米にたどり着き、玄米生活はしばらく続きました。

玄米を初めて炊いたのは2008年2月のことです。六本木はミッドタウン、の横で当時で40年営んでいたお店の大将に3日浸水して炊く方法を教えてもらったのがきっかけです。

玄米を日常的に食べていた2009年7月の朝食はこんな献立でした。
「玄米、茄子と茗荷と大葉の味噌汁、鯵の開き、酢大豆、人参梅肉和え、胡瓜のぬか漬け。」
昭和な感じです。小津監督の『秋刀魚の味』を思い出します。

しかし、サラリーマン生活と玄米の鍋炊きを両立させるのはなかなか難しく、かといって圧力鍋を持つ気はなく、炊飯器という選択肢は鼻からなく、でも白米に戻る気持ちは薄く、間をとって七分とか五分へと移行して現在に至ります。

(この文章を書いていて、ぼくの人生は、好きなことに突っ走ったり、楽なことに逃げたり、というより、嫌いなこと、嫌なこと、苦手なことをひたすら回避するために出来上がっているような気がしました。)

おーたさん

最初は玄米が苦手でしたが、アドバイスどおり浸水をしっかりしたら見違えるほど美味しくなりました。

さいとうさん

それは良かったです。

おーたさん

それでも白米のほうが好きなので、やはり玄米は食べてません^^;

さいとうさん

織り込み済みです。
ぼくも日常的には玄米では食べていませんが、お米は玄米で買います。
続いて玄米について語ります。

さいとうの語り:玄米について語ります。

お米は専ら玄米を買います。
311を経験して食料備蓄の必要性を痛感してからずっとそうしています。玄米だと夏場にコクゾウムシが湧く可能性がありますが(実際に2回経験している)、それでも玄米は生きているので長期保存が可能です。
玄米で保存しますが、普段は五分づきで食べます。

玄米で食べるときは、洗ってから水に浸けた状態で2−3日冷蔵しておくと、白米好きのおーたさんでも美味しい、と唸る炊き上がりになります。

精米には家庭用の精米機が必要です。我が家では一度に2合を毎日炊くので、都度精米していると流石に手間で、まとめて12合精米しています。

のむこう_飯炊き2_精米機

自家精米していると、白米と五分づきで出る糠の量の違いに驚きます。食べられる部分をこんなに糠として捨てているのか?と。
もったいないことです。

でも、ご安心ください(何を?)。糠を捨てることはほぼないです。
無農薬の米の糠ならぬか漬けの足し糠にしますし、そうでなければ、取っておいて油を吸わせるのに使います。糠は油との親和性が高く、油を吸ってボソボソの状態になるので燃やすごみとして捨てることができます。

炊飯器はないのに精米機を持っているというのは割と珍しいと思うのですが、先日飲み屋で隣に座ったご夫妻と話していたら、全く同じことをしていることがわかってとても盛り上がってしまいました。
ちなみにそのご夫妻も料理はもちろんのこと家事全般を旦那さんが担当しているとのことでした。
そのうちこういう役割分担が当たり前の時代が来ることをぼくは知っています。

おーたさん

さいとうさんは1日で2合ですか。
僕はずっと毎回1合炊いて食べきっていました。最近は少し食欲が落ちて1合食べきれないので3合まとめて炊いて半合ずつに小分けにして冷凍してます。

さいとうさん

うちも夏はお米の消費が落ちるので、半分は冷凍に回ります。

おーたさん

でも大好きなおかず(お米を欲する)のときは炊きたてを食べてます。

さいとうさん

大好きなおかずって?

おーたさん

牛肉or豚、もやし、ニンニクの芽をフライパンで焼いて、焼肉のたれで食べるとご飯が進みます。

さいとうさん

もやしは水が出るので、肉を焼き終えてから最後に肉の旨味を吸い取らせるようにソテーすると美味しいですよ。

おーたさん

今度試してみます。

さいとうさん

おーたさんの家事能力は上がりましたね。

おーたさん

ここ数年で僕も家事に目覚めました。
洗濯機というのは、買って設置すればそれだけで勝手に洗濯して畳んでくれるものだと昔は思っていたのですが、そうではなかったんですね。

さいとうさん

気づいて良かったと思いますよ。本当に。
この「よみもの」を書き続けてきた甲斐があるってもんです。

おーたさん

まあ、そのためのおーた企画ですから。

さいとうさん

家事は基本的生活能力だとぼくは考えています。年齢もジェンダーも趣味も嗜好も地位も名誉も関係ないと思います。
続いて文化鍋とおひつについて語ります。

さいとうの語り:文化鍋とおひつについて語ります。

ご飯は自炊を始めてからずっと鍋で炊いていました。
おーたさんとは随分と違う環境で育ち、異なる価値観を持っていたようです。

最初は土鍋、続いて文化鍋、しばらくル・クルーゼ時代があり、2020年から文化鍋に戻っています。

土鍋で炊いていたのは大学生時代です。
1980年代とはいえ、珍しい人だったのかもしれません。飯炊きに土鍋を選択することについて躊躇した記憶はありません。炊き方に困った記憶もなく、でもネットも、ましてYou Tubeもない時代にそんなはずはないので、もしかしたら記憶の上書きを自分でしてしまっているかもしれないです。
確かなのは、飯炊きに嫌気がさして土鍋を叩き割ることはなかったということです。その土鍋は、2000年代まで活躍して天寿を全うしました。

就職して独身寮に入ったので、自炊する環境が失われてしまいました。哀しかったです。
それがきっかけでぼくは登山を始めたのかもしれないです。山に行けば自炊できますし。

しかし自炊環境は意外なきっかけで取り戻すことができました。勤めていた会社の賄い付き独身寮が一杯になって最高齢独身者であるぼくが家族用社宅に強制移住させられ、そこには団地サイズの台所が付いていました。期せずして憧れの自炊生活が実現したのです。
独身で良かった、つくづく思いました。

その時入手して現在も使っているのがこの文化鍋です。

のむこう_飯炊き3_文化鍋

2−3千円程度のオートキャンプ用セットに含まれていて、文化鍋の他にはテフロンのフライパン、3リットル程度の大鍋、小鍋とやかんがありました。当時はそれで日常的な料理は全て賄っていたので、実際にオートキャンプに行く時は台所にはほぼ何もない状態になったものです。
生活なんて、そんな風に身軽なのがいいとずっと思っていました。それが今では・・・。
脱線しかけました。

ル・クルーゼから文化鍋に戻ったのには3つ理由があって、一つは毎日の飯炊きにル・クルーゼの重さが辛くなってきたこと(老いはこういうところに現れます)、もう一つは文化鍋は吹きこぼれがないこと、そしておひつとの相性がいいということです。
毎回必ずおひつを使う、という訳ではないのですが、おひつは「保存容器」というより水分調整機能を持つ「調理器具」として認識した方が適切なのではないかと思っています。

のむこう_飯炊き4_おひつ

おーたさん

僕もキャンプではメスティンでご飯を炊きます。
鍋炊きにコツはありますか?

さいとうさん

慣れれば難しいものではないです。
最近の最高級炊飯器は、羽釜による炊飯を目指しているとも聞いたことがあります。
目的自体が進化しているのではなく、アプローチだけいじくっている感じです。
そのうち掃除機もレレレのおじさんの再現を目指すかもしれません。楽しそうです。
脱線しました。鍋炊きについて語ります。

さいとうの語り:鍋炊きについて語ります。

お鍋でご飯を炊いたことはありますか?
割と簡単なので(簡単じゃあないと続かない)、紹介したいと思います。
覚えておくと非常に役に立つ、とは言いませんが、非常時には役に立つかもしれません。

浸水した米と水(我が家では米2合に対して水400cc)を鍋に入れ、強めの中火程度で沸騰させます。具体的には10分で沸騰する火加減です。この時間で米の甘みがよく引き出される、ということで採用しています。
この時の火加減は勘に頼るので、10分丁度で沸騰すると大変気持ちがいいものです。快感と言ってもいいと思います。
いきなりハードルが上がりました?
鍋の蓄熱性能にもよると思いますが、残り3分くらいでシューーシューー音がしていたらいい感じだと思います。
料理には音がとても重要です。

沸騰したら蓋を取って米の上下を返すように大きく混ぜ、蓋をして弱火でさらに10分。最後に5秒程火を強めて水気を飛ばします。

火からおろして5分ほど蒸らしたらご飯を大きく切り混ぜ、鍋に布巾を被せて蓋をしてさらに5分蒸らして炊き上がりです。
布巾を被せるのは、余分な水分を吸わせるのと、蓋に付いた水滴がご飯に落ちないようにするためです。

おーたさん

さいとうさん、メスティンならもっと簡単に炊けます。

さいとうさん

えっ?

おーたさん

さいとうさんはメスティンをご存知ないようなので、メスティンを使った飯炊きについて語りましょう。

おーたの実践:メスティンでの飯炊きについて語ります。

メスティン!
キャンプに行くようになりトランギアのメスティンを買いました。

のむこう_メスティン_トランギア

キャンプに行く前日に米を1合分洗いビニール袋に入れて持っていきます。
「洗い米」です。

熱源は、アルコールバーナーで炊いたり、ガスで炊いたりしてましたが、固形燃料で炊くほったらかし炊飯が楽と聞き、最近はもっぱら固形燃料です。
固形燃料に火を着けたら燃え尽きるまで本当にほったらかしに出来るので助かります。
燃料20gでちょうど、25gだといい感じのお焦げができます。
燃え尽きたら専用袋に入れて蒸らすのですが、

待ちきれません^^;

早めに食べてしまうことが多いです。

最近ホーローメスティンを趣佳で扱っていて、コレがスグレモノなんです。
まず、佇まいがイイっていうのが大事なポイント。
キャンプ場で使うところを想像するだけでニンマリします。


 
ホーローなのでグラタン皿にも適してます。
アルマイトのメスティンと比べたら少し重いですが、料理の後の汚れが取れ易いです。
アルマイトのメスティンで炊いていると蓋が持ち上がってくるので重しが必須ですが、ホーローメスティンは必要有りませんでした。
秋のソロキャンプが楽しみです。

のむこう_飯炊き_メスティングラタン

さいとうさん

趣佳アウトドア部からの宣伝でした。
それにしても、1合のお米がそれだけの手間で炊けてしまうのですか!
それで冒頭の「洗い米」とメスティンだったんですね。

おーたさん

はい。「洗い米」とメスティン、固形燃料は便利です。

さいとうさん

でもね、おーたさん。
最近は洗い米ではなく、研いだお米は浸漬させて保存しているのですよ。
便利なので紹介します。

さいとうの語り:浸漬米について語ります。

お米はいつ研いでいますか?
お米は炊く前に充分浸水させておく必要があります。冬場なら1時間は必要、とされていて、夕食の支度の前にこの工程を持ってくるのは面倒か、あるいは充分な時間を確保できない可能性があります。
ぼくは、米を炊いたらその時に次の2合分を研ぎ、タッパウェアに浸水させた状態で冷蔵しています。2−3日放置しても全く問題ないですし(米粒がグジュグジュになることもない)、新米古米関係なく必要な水分を吸収してくれるので炊き上がりのばらつきもありません。
こうしておけば、そうだ、ご飯が食べたい!と思い立ったら30分後には炊き立てご飯が目の前に現れます。

おーたさん

そういう手もありましたか。

さいとうさん

お米は工夫次第で便利に食べることができる材料だと思います。
他人にお金を払ってむざむざと自分の知恵を無くしていくのは哀しいことです。
せっかくの飯炊き編なので、最後に挽肉の炊き込みご飯と混ぜご飯を紹介したいと思います。

さいとうの語り:挽肉の炊き込みご飯と混ぜご飯について語ります。

炊き込みご飯は、炭水化物を摂れる、味がついている、具が入っていることから、ぼくはパスタ料理に近いものだと考えています。献立のメインが決まらない時に挽肉の炊き込みご飯を炊き、おかずは魚の切り身で軽く、という組み立てをよくします。

挽肉を使った炊き込みご飯はあまり包丁を使わないので手軽です。挽肉は鶏でも豚でも牛でも。鶏ならきのこや蓮根、豚なら生姜、牛はごぼうあたりと合わせるのが好きです。

コツがあるとすれば、挽肉をあらかじめみりんと醤油に漬けておき、お米にだしを注いでからその上に乗せて炊くことくらいです。こうすることで具にしっかり味が乗ります。混ぜるのは蒸らし終わってからです。
簡単ですよ。

時々食べたくなるのがシーチキンライスと呼んでいる混ぜご飯で、ご飯を無塩トマトジュースと水等量で炊き、炊き上がってからシーチキンを混ぜ込みます。
2合のご飯は炊き上がりが700gに足りないくらいなので、5gほどの塩で味付けし、シーチキンのオイルは炊き込む時に加え、バジルなんかで香りづけをするといいです。
仕上げには胡椒が嬉しいです。
炊き上がりにバターを乗せると、ほぼチキンライスです。

牛挽肉をパラパラに炒めてからアスパラガスと炒めあわせ、オイスターソースで味付けして炊き立てご飯に混ぜ込んで黒胡椒を効かせるのも好きな食べ方です。
温かいご飯があるなら、頑張って焼き飯にする必要もないと思います。

白米はうまいですが、お米を食べるのに白米にとらわれる必要はないです。
30分ほぼ放置で献立のメインになる存在、と考えれば、飯炊きの可能性はもっと広がります。

飯炊け!飯炊く!飯炊こう!です。

おーたさん

シーチキンライスは美味しかったです!
ところで、今回のタイトルはどこからやってきたんですか?

さいとうさん

このタイトルは元気が出る気がします。
1958年の映画『裸の太陽』の『罐炊きのマーチ』の歌詞「罐炊け!罐炊く!罐炊こう!」から頂きました。映画を観た記憶はないのですが、耳にこびりついて離れません。

ちなみに作曲者は芥川龍之介の三男ということです。
芥川龍之介と言えば『芋粥』を思い出します。
そう言えば『鼻』では、宇治市のお坊さんが「細長い腸詰めのような」鼻を粥の中へ落としてしまう、という笑えないエピソードもありました。

お粥もいいものです。
新米を楽しんでください。

おしまい

タイトルイラスト:小林あつ子
https://atsukokobayashi.tumblr.com/

 

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