お店番スタッフおーた企画の第7回目です。
今回は布巾について。
趣佳内でも布巾の使い方はそれぞれで、気になっていたスタッフも居るようです。
さいとうさんは布巾にも一家言お持ちのようで、おじさん2人のゆるトークならぬ、
さいとうさんのこだわりトーク。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

お店番おーたと主夫さいとうが交わす、趣佳とはほとんど関係のない話を不定期にお届けします。

暮らしにまつわる話が中心なので、全く関係がないわけでもない(という願いも込めて)ということで「の、むこう。」という名前にしました。

おーたの「これ、どうなんでしょう?」という大して意味もない質問に、家事好きさいとうが無駄に真剣に語ります。真剣ではありますが、趣佳のことはあまり念頭にありません。

さいとうは家事好きですが、別にカリスマでもスーパーでもないので、これを読んで人生が変わることも、運が向いてくることもないと思います。
多分。

 

第7回 布巾のご案内

おーたさん

もはや休載か?と思っていた皆さん、安心してください。
「の、むこう。」の久しぶりの不定期更新です。

さいとうさん

「年中無休」というのは、ただ休みの日を決めていない、という意味だと聞いたことがあります。
それに比べれば「不定期更新」の方がよっぽど正直な表現だと思います。

おーたさん

言い訳にもなっていません。

さいとうさん

言い訳ではなく、「休載」と「不定期更新」の線引きは難しいという話です。
二つの道を分けるのは、続ける意思のちょっとした加減にしかないような気がします。

おーたさん

言い訳でしかないです。
で、どっちなんですか?

さいとうさん

限りなく真ん中に近い、ちょっと「不定期更新」寄り、というところでしょうか。
まあ、困る人もいないでしょうし。

おーたさん

いや、もしかしたら次の更新まで死んでたまるかって頑張る人もいるかもしれません。

さいとうさん

それで長寿化に寄与できるなら、休載と不定期更新の合間をたゆたい続けたいと思います。

おーたさん

で、書くのですね。

さいとうさん

・・・はい。

おーたさん

前回の「靴」シリーズはささやかながらも反響をいただき、次は「愉悦の白シャツ、至福のロンT」で、本格的にファッションについて語るのかと思っていたら、今回は布巾ですか。

さいとうさん

シャツならいくらでも語る人がいるでしょう。だから僕が語る必要はないと思います。
布巾については個別の素材やら商品については情報が溢れているというのに、取り扱いや使い分け、ましてや一生についての記述がない分、むしろ語る必然性があるような気がします。

やまもとさん

なんか、もやもやします。

さいとうさん


今のは誰?

おーたさん

宇陀分室のやまもとです。宇陀にいることが多いので、お客様にはあまりお目にかかる機会がないです。
やまもとはベテラン主婦ですが、布巾の取り扱いにはもやもやを感じているそうです。

やまもとさん

正解は私にもわかりません。

さいとうさん

ベテラン主婦ですら「もやもや」しているからこそ語る必要があるのだとぼくは思います。
ただ、この論考にしても、一つの考え方としてそうっと差し出すもので、こうでなければならない、という趣旨ではありません。

おーたさん

我が家では使い捨てタイプの布巾を使っていて、布巾についてあまり考えたことはありません。
考えるのも面倒で、この付近に土地勘はありません、って感じです。
間違えました。布巾です。

さいとうさん

今回は、こうして考え続ける姿勢自体が大切なのではないか、ということだけでもお伝えできれば、と思っています。
「もやもや」を抱えて生きろ!ということだと思います。

おーたさん

せっかくなので僕も布巾の勉強をしたいと思います。
「もやもや」を共有しましょう。
さいとうさん、布巾ってどうなんでしょう。

さいとうさん

思った通り無駄に前置きが長くなりました。
早速布巾について語ります。

さいとうの語り:布巾との関わりについて語ります。

昔、多分20年近く昔、知り合いの新米主婦から布巾の取り扱いについて聞かれたことがありました。台布巾とコンロ周り用の布巾は分けているのか、分けているのなら一緒に洗濯するのか、そういう質問だったと思います。

昔からぼくはそういうことに詳しい人だと思われていたということでしょう。恋愛の相談など一度も受けたことはありません。

その問いにはなんとか答えましたけれど、自分自身の答えに自信があったわけでもないですし、「正解」だったのかどうかもわかりません。
それ以来布巾の取り扱いについて考え続け、実際に試行錯誤し、最近ようやくこの付近かな、という地点にたどり着いたので、ぜひ紹介したいと思います。

ただし、個別の製品や素材の優劣について考察するものではなく、使い分けや取り扱いの参考になれば、という程度の内容ですので、正確には「布巾の付近のご案内」なのかもしれないです。

おーたさん

「わたしと布巾」はわかりました。
中身を早くお願いします。

さいとうさん

どうせ皆さん今までもやもやしてきたのですから、そんなに急がなくてもいいではないですか。
まずは全体像から語ります。

さいとうの語り:布巾のふかん図について語ります。

布巾は8種類を用意していて、用途と素材、枚数はこんな感じです。

1 食器拭き 麻 3枚
2 手拭き 麻 3枚
3 台所用 マイクロファイバークロス 3枚
4 コンロ周り用 マイクロファイバークロス 1枚
5 まな板の下敷き 綿 1枚
6 まな板拭き 綿 1枚
7 食卓用 蚊帳(綿でも) 1枚
8 雑巾 綿 1枚

こうしてリストアップしてみると割とあります。使い捨てという選択もあるようですが、ぼくは洗濯して繰り返し使うことを選択しています。

素材としては麻、マイクロファイバー、綿を使い分けています。

おーたさん

思ったより多いです。
どうしてこんなに分けなくちゃならないのですか。

さいとうさん

そうですね、このリストだけ見ていてもつまらないと思うので、使い終わった後の清掃も含めて説明したいと思います。

おーたさん

つまらなくならないようにお願いします。

さいとうさん

もう飽きたのですか?
でも語ります。

さいとうの語り:布巾の使い分けについて語ります。

1食器拭きと2手拭きには乾きの速い麻を使っています。
麻が好きです。
毎日洗濯機で洗うので、2セットあれば回るのですが、予備のために3セット持っています。台所では割と目立つ存在なので、色・柄選びは大切だと思います。

3台所用と4コンロ周り用はマイクロファイバークロスです。
台所でマイクロファイバークロスを使い始めたのは(ぼくにとっては)比較的最近で、2018年のことです。それまではさらし木綿一本槍でした。さらし木綿は昔から日本の台所で活躍してきた素材で、信頼感があります。でも、時折台所トップのステンレスをみっちり拭くと黒ずみが出て、洗濯してもなかなか落ちない、というもやもやを抱えていました。
それがマイクロファイバークロスを使うとスッキリ解決しました。
そんなに高機能でなくてもいいと割り切っているので、ドラッグストアで取り扱いのあるものを使っています。ただし、色選びには苦戦しまして、グレーがぼくには一番しっくり来ています。
ぼくのキャラクターの問題もあり、ピンク色や黄色はちょっと、というのが正直な気持ちです。
大人の素養の一つとして、他人を困惑させない、というのはあると思います。
サイズは28cm×28cmです。

マイクロファイバーは洗濯30回が性能維持の限界ということなので、3台所用に3枚を用意して、1日1枚使い、毎月1枚ずつ交代していきます。役目を終えた1枚が4コンロ用に回ります。
同じ色なのでわかりにくいかな、と思って使い始めた月を右下に油性ペンで書いているのですが、1ヶ月使ったものと3ヶ月使い古されたものは明らかに触感、吸水性能が違うのですぐにわかります。

4コンロ用は、料理中のコンロ周りの油はねや吹きこぼれを拭くだけではなく、夕食後の食器洗いを終えた流し全体を拭き掃除し、ゴミを取り除いたゴミ受けの汚れ落とし、ゴミ受けを外した排水口の汚れ落としにも使います。

3台所用は毎日洗濯機で洗濯、4コンロ用は夕食の片付け時に食器洗い洗剤で手洗いし、ゴミ受けの汚れを落としたら湯洗いをしてから台所に干しています。

おーたさん

ゴミ受けを布巾で拭くのですか?

さいとうさん

気になりました?
そんなんじゃあ、汚いじゃないかって。
汚くしているから汚いのであって、ゴミ受け自体は本来汚いものではありません。

さいとうの語り:ゴミ受けの掃除について語ります。

僕はずっとゴミ受けは浅いものを使っていて、排水口キャップは使いません。
ゴミ受けに溜まったゴミは毎食後取り除きます。これには古布や、20cm四方程度に切った新聞紙のような柔らかい紙、一度使ったペーパータオルなんかを使い、ゴミを取り除いてゴミ受けをざっと拭います。
ゴミ受けは夕食後マイクロファイバー布巾で洗います。ゴミ受けを外して排水口の汚れも拭き取ります。
毎回ゴミを拭い、毎日洗うので、黒ずみもヌルヌルもありません。
調理中に出るゴミは作業場所においたちょっとしたゴミ箱に受けて、調理後も流しのゴミ受けにはほとんどゴミが貯まらない仕組みにしています。
ゴミになる前の状態で処理してしまうのです。
油の多い料理にした時は、4コンロ用で汚れ落としをしてゴミ受けを戻し、泡状の漂白剤をスプレーします。

4コンロ用としても無理になったら、最後の最後に無理矢理にでも家の中を掃除して役割を終えます。最近の実例を紹介するとエアコンディショナーの室外機の上を拭くとか、コンロの五徳を徹底的に拭くとか、そういう汚れ役です。

おーたさん

確かにそれではヌルヌルも発生する余地がないです。

さいとうさん

自分で育てているようなものだとぼくは思います。

おーたさん

・・・。
ところでクロスを「食器洗い洗剤で手洗い」ってどういうことですか。

さいとうさん

嬉しくなる質問をありがとうございます。
クロスを洗うためだけに洗剤を使っているわけではなく、食器洗いの延長なのです

おーたさん

食器と一緒に洗うのですか?

さいとうさん

洗うのは別です。

おーたさん

どうするのですか?

さいとうさん

ぼくは食器を洗うときに洗剤原液を直接スポンジにつけることはせず、径24cmのボールに原液を2プッシュし、お湯で薄めて使っています。

おーたさん

洗い桶ですか?

さいとうさん

いえ、洗い桶ではないです。
このボールは料理中はほぼいつも流しにおいていて、野菜を洗うときのため水、油汚れ以外の食器の予洗いなどに使い、食後の食器洗いの時に薄めた洗剤をためています。
食器を洗い終えた後に4コンロ用、5まな板の下敷き、6まな板拭き、7食卓用を手洗いするのです。

おーたさん

それで「食器洗いの延長」ですか。無駄がなさそうです。
洗剤の使い方一つとっても素直に行きませんね。

さいとうさん

まあ、性格ですから。時折自分でも持て余します。素直さって何なんでしょうね。
それは置いておいて、続いて綿の布巾について語ります。

さいとうの語り:綿の布巾について語ります。

5まな板の下敷き、6まな板拭き、7食卓用、8雑巾はセットで考えてください。ローテーションしているのです。
我が家ではさらし木綿を反物状で買い、切って使っています。端にハサミで1cmほど切れ目を入れ、手で裂きます。
今はお土産にもらったね○村さんのかや布巾を7食卓用に使っていますけれど、基本的にはさらし木綿でいいと思います。

冒頭の画像は上から、切ったさらし木綿、マイクロファイバークロス、さらし木綿の反物です。

まずおろしたての新人さんは5まな板の下敷きからキャリアをスタートします。濡らして固く絞り、まな板の下敷きにするとまな板がずれないのです。

次に6まな板拭きに回ります。拭くのはまな板だけではなくて、食材を切り終えた包丁も都度拭うので、時に包丁に引っかかり穴が開き、またごぼうなんかを切ってからまな板を拭くと黒ずんだりと割とハードな役割です。
中堅どころの役回りです。

7食卓用は以前3台所用と兼用していたのですが、我が家の食卓と台所がちょっと距離があり、またお客さんに料理を振る舞う時など、どうしても食卓専用があったほうがありがたい局面も多く、ね○村さんのかや布巾をお土産にもらってこの仕組みに変更しました。
マイクロファイバークロスで木製の食卓を拭き上げるのもちょっと強すぎるのではないかと懸念していたので、これでいいと思います。

後継としてはスナフキン柄の布巾を考えています。
特に理由はないのですが、食卓で使っていれば誰かツッコミを入れてくれるかもしれないかと思って。

おーたさん

僕はツッコミを入れないので、期待しないでください。
スナフキンの布巾なんて恥ずかしくて言えるわけないじゃないですか。
スナフキンでなくてもいいなら趣佳でも布巾の取り扱いがあります。

さいとうさん

ありがとうございます。期待通りの商品紹介です。今度お店で見せてください。
最後に煮沸消毒と布巾の一生について語ります。

さいとうの語り:煮沸消毒と布巾の一生について語ります。

5まな板の下敷き、6まな板拭きは、ガラ紡の食器洗い布と一緒に毎晩煮沸しています。時折7食卓用も一緒に煮沸します。
台所で干しているので、専用の干し機を用意してしまいました。

いずれも翌朝には乾いていますし、よしんば乾いていなくとも、そもそも濡らして使うものなので、ストックは持たず1枚ずつで十分です。

煮沸には使わなくなったステンレスのオイルポット容量1リットルが大変重宝しています。だからぼくはなかなかモノを捨てることができないのかもしれません。

最後に8雑巾は、6まな板拭きか7食卓用の使用限界を迎えた最後の役目です。

でも、まだ終わらないのです。
雑巾としてももう無理、となったら手洗いしてしっかり乾かし、15cm四方ほどに切って、流しのゴミ受けのゴミを取り除くのに使います。
随分と働いてくれました。

おーたさん

布巾にしてもやはり「モノとの付き合い」ということになるのですね。

さいとうさん

布自体が好きなのかもしれないです。
リネン繋がりということで、綿のフェイスタオルについてちょっと。
我が家ではバスタオルは使わず、風呂上がりにもフェイスタオルをずっと愛用しています。
髪の毛を拭く必要がある時も2枚使えば十分で(おそらくぼくの毛量には関係なく)、数は用意する必要がありますけれど、洗濯と乾燥にまつわる手間を考えると楽だと思います。
最近使い始めた趣佳さんのタオルはしっかりと水気を拭き取り、柔らかくてコシもあり、とてもいいです。

おーたさん

いや、商品紹介は僕の仕事です。
それにそのフェイスタオルは先日さいとうさんが買い占めてしまって在庫がないです。

さいとうさん

いい品物だったのでついつい。

おーたさん

そんな品薄の商品を紹介するなんて、さいとうさんもまだまだですね。
お客様の心に届く商品紹介とはこういうものです。

・・・・・・

複数の用途で長く使っていける布としては、手ぬぐいもおすすめです。
あひろ屋さんの手ぬぐいは絵柄が美しく、インテリアや目隠しとして、ハンカチや布巾として、お弁当包みとして、さいとうさんの布巾とは歩むキャリアは違えど、長く働いてくれること間違いなしです。

おしまい

タイトルイラスト:小林あつ子
https://atsukokobayashi.tumblr.com/

 

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