ぐりるのこと。

 

お店番おーたと主夫さいとうが交わす、趣佳とはほとんど関係のない話を不定期にお届けします。

暮らしにまつわる話が中心なので、全く関係がないわけでもない(という願いも込めて)ということで「の、むこう。」という名前にしました。

おーたの「これ、どうなんでしょう?」という大して意味もない質問に、家事好きさいとうが無駄に真剣に語ります。真剣ではありますが、趣佳のことはあまり念頭にありません。

さいとうは家事好きですが、別にカリスマでもスーパーでもないので、これを読んで人生が変わることも、運が向いてくることもないと思います。
多分。

 

 

第3回 ぐりるのこと。

ぐりるのこと

おーたさん

さいとうさんに教えてもらったビネガーマリネ焼きがとても気に入って、キャンプでも大活躍しています。
ビネガーマリネ焼きになくてはならない魚焼きグリルに因んで「ぐりるのこと。」について聞きたいと思います。
さいとうさん、グリルってどうなんでしょう。

さいとうさん

ぐりるのこと、ですね。
京都出身のくるりというバンドがあるのですが、そっちではないですね。

おーたさん

違います。

さいとうさん

そう言えばリリー・フランキーの出ていた映画に「ぐるりのこと。」というのもありましたけれど、それも関係ないですか。

おーたさん

全く。
タイトルの解説はそのくらいにして、そろそろ始めましょう。

さいとうさん

おーたさんのとこは火口はいくつありますか?

おーたさん

自宅はコンロが2口と、魚焼きグリル、それにオーブンがあります。

さいとうさん

我が家のコンロは3口です。ご飯は鍋で炊くので2口だとちょっと辛いです。
おーたさんはグリルって使いますか?

おーたさん

そう言えば、さいとうさんにビネガーマリネ焼きを教えてもらうまであまり使いませんでした。

さいとうさん

グリルを魚焼きにしか使わないのはとても勿体無い話です。
折角なのでグリルについて語ります。

さいとうの語り:ぐりるについて語ります

我が家ではグリルをよく使います。

『スラムダンク』29巻で仙道君が流川君に言っています。

「1対1もオフェンスの選択肢の一つにすぎねぇ
それがわからねえうちは
おめーには負ける気がしねえ」

ぼくに言わせれば「コンロも選択肢の一つにすぎねぇ」ということです。

限られた時間で夕食の献立をいかに作り上げるか、「熱源」という観点からグリルを素直に解釈すれば、直火が使える、時間管理もしてくれるという優れた機能が見えてきます。

ぼくは献立を考えるときに、どの火口を使うか、あるいは加熱しなくてもいいのか、ということをまず考えます。コンロを同時に3つ使うのはきついです。
自分の気持ちも、スペースも。

だからできれば、コンロを使うのは二品まで、加熱のいらないあるいは加熱時間の短い料理を一品、そしてグリルで一品、という組み立て方をします。

おーたさん

熱源の一つとしてグリルを使うことができれば、料理の幅も広がりそうです。
どんな料理ができるのか教えてください。

さいとうさん

具体例があった方がいいですね。
では、グリルを使った料理について語ります。
グリルの積極的利用者を「グリラー」と称するそうですが、ぼくはまだその域には達していないので、そのつもりで読み流してください。

さいとうの語り:グリル料理について語ります

春なら塩茹でしておいた新じゃがいもに溶けるチーズを乗せてグリル焼き。シリコンホイルに乗せれば溶けたチーズを受け止めてくれます。
夏野菜をグリルで焼いて、酢醤油やポン酢でさっぱりと焼きサラダ。
秋には蓮根や長芋なんかの根菜もグリルで焼いて、味噌ベースのちょっと濃いめのソースでもいいです。
我が家のグリルにはダッチオーブンが付属するので、これで根菜を蒸し焼きして、ワインビネガーで食べるのは秋から冬の定番です。

もちろん主役としても使えます。

焼肉用の牛肉をさっと網焼きして大根おろしとポン酢で食べるのは、至高の手抜き料理だと思います。
鶏のもも肉を皮目が焦げるほどに火を通して薄切りし、せり、蕎麦と一緒に鍋にするのも大好物です。
しょう油、酒、おろし生姜に漬け込んだ手羽元をグリルで焼くのも旨いものです。ガラムマサラなんかをちょっと振るとまた別の味わいを楽しむことができます。

それからおーたさんがハマったビネガーマリネ焼き。
我が家ではある人の言い間違いを気に入って「ビネマーガリネ焼き」と呼んでいます。どこか遠い異国の料理みたいです。
焼肉用のちょっと厚みのある豚バラスライスに塩胡椒で下味をつけ、酢、オリーブオイル、はちみつ、にんにく、ローリエ、ローズマリーでマリネして魚焼きグリルで焼くだけです。
酢のおかげで脂が落ちて、思いの外すっきりした味わいです。そして少し焦げ目がついた豚バラの脂は旨いものです。一緒に焼いたにんにくを乗せて食べてください。

この時にちょっとした工夫があって、魚でも肉でも、脂が多い素材を焼くときは、あらかじめ受け皿にアルミホイルで作ったお皿をおいておくと落ちた脂を受け止めてくれるので掃除が楽です。

反対に脂が出ずに、ひっつきやすい具材を焼くときはアルミホイルやシリコンホイルに乗せて焼くとストレス軽減になります。

いずれも一手間ですが、毎回グリルの網と受け皿を掃除する手間を考えると、こうした工夫で回避できるなら回避するのがいいと思います。
掃除の手間というのは、案外グリル利用を遠ざける要因になると思います。

さいとうさん

おーたさんはちゃんとグリルの掃除をしていますか?

おーたさん

・・・・。

おーたさん

ビネマーガリネ焼き以外にも、色々と役に立ちそうです。
言い間違えました。ビネガーマリネ焼きです。
僕もアルミホイルのお皿は重宝しています。

さいとうさん

おーたさんはどういう風にキャンプで楽しんでいるんですか?

おーたさん

折角なので、「おーたの実践」ということで紹介します。

おーたの実践:キャンプでのビネガーマリネ焼きについて紹介します。

酢を使うので、この料理は食材の管理に神経を使うキャンプには最適です。

僕のキャンプは休日前の出勤日に一旦早朝出勤して、ある程度仕事が(オンラインの発送に係る業務)片付いたら超早退(スーパー早退ともいいます)をしてキャンプ場に向かうスタイルです。

一旦出勤しますので、前日にお店近所のスーパーで買い出しやらしたのを趣佳に置いといて出発前にクーラーボックスに放り込めば準備完了です。
豚バラのビネガーマリネなら仕込みは漬けるだけなので前日の勤務時間中に漬け込んで冷蔵庫にinです。

ソロキャンプでの食事はあまりむづかしいことはしません。
焼き鳥やらすき焼き(風)が多いですね。

焼き鳥を焼く場合は炭火です。
僕はユニセラっていうのを使ってるんですけど、ソロキャンプにはすごくいいサイズです。
炭火を使うときは必ず、焼き鳥を焼くまえに平天を炙って生姜醤油で食べます。
好きなんです。

先日も平天を焼きながら炭火を育てて、いい感じの火で豚肉のビネガーマリネを焼きました。
家のグリルで焼くビネガーマリネもすごく美味しいですが、キャンプ場で食べるのも格別で、控えめに言って最高でした!
結構炭火が豚の脂でファイヤァァァーーー!状態になるので注意は必要ですが、それもまた良しなんです。

さいとうさん

炭火で焼けていく肉を見ているのは素敵なことです。炭火を「育てる」という感覚も格好いいです。
まさに五感が刺激されます。赤く焼けた炭、鼻腔を刺激する肉の焦げる匂い、パチパチと爆ぜる音、顔に感じる炭の熱、そんな道具立てが揃った中で焼けた肉を食べるのですね。
ぼくも食べたくなってきました。

おーたさん

そう言えば、ビネマ、じゃなくてビネガーマリネ焼きにぴったりのお皿があるんですよ。
吉田健宗さんのお皿が久方ぶりに入荷していて、焼き上がりスッキリ、ビビットな釉薬の色合いが夏の肉料理にぴったりなんですよ。

さいとうさん

宣伝ですか。

おーたさん

いえいえいえいえ!本心です。
ちなみに9月4日からのおやつの時間という企画展にも出展いただきます。今から楽しみですねぇ!

さいとうさん

しっかり宣伝しましたね。

おーたさん

うってつけのお皿もあることですし、色々と料理も教えてもらったので、胸を張って自称グリラーと名乗れるよう精進します。

 

おしまい

タイトルイラスト:小林あつ子
https://atsukokobayashi.tumblr.com/

 

ご意見・ご感想お待ちしております。

mail

PAGE TOP