金継ぎ教室_安先生の読みもの

こんにちは 金継ぎ講師の安です。

コロナで外出を控えたりすることが多くなりましたね。

本日はお家時間活用「家活」ということで、金継ぎで使用する漆を使った食器のメンテナンスをご紹介したいと思います。

(今回は金継ぎ経験者を対象とした内容です。初心者の方にもわかるような説明は心がけますが、漆かぶれには十分注意して自己責任で行ってください。)

金継ぎ 安先生

 

こちらは我が家のカトラリーです。木製の食器やカトラリーを使っていくと段々と白っぽく塗装が取れてきてしまいますね。本日は簡単にこの白っぽくなってしまった部分を再塗装する方法をご紹介します。

※ただしもともとの木材が白系など、木の種類によっては完成の色彩が合わないものもありますのでご留意ください。

金継ぎ 安先生

 

用意していただくもの

・漆(作業で余った漆:生漆、赤呂や木地呂や透き漆といった顔料の入っていない漆)

・手袋

・綿棒

・ウエス(要らない洗濯してある綿系の布)

・小皿

・段ボールの内側に新聞紙が貼ってある箱(簡易なうるし風呂)

・霧吹き

写真奥に映っている段ボールは、再塗装後のカトラリーを立てかける治具です。塗装後に直置きするとくっついてしまう恐れがあるため、段ボールや発泡スチロールなど簡易で結構ですのでご用意ください。

手袋をはめたら小皿に漆を出して、綿棒を使ってカトラリー上半分に漆を塗っていきます。

この時はしっかりと塗り残しがないように塗っていきます。

金継ぎ 安先生

次に今塗った部分を、ウエスを使って拭きます。せっかく塗ったのにもったいないと思うかもしれませんが、拭き残しが無いようにしっかりと拭いてください。この時に液状の漆が残っていると完成の印象が悪くなります。しっかり拭きましょう。

金継ぎ 安先生

残り半分も同じですが、この時に手袋をしているからと先ほど作業した部分を持つ方がいらっしゃいますが、やめてください。ゴム手袋の跡がついてしまいますので、ウエスを使って作業箇所を掴んでください。

※厳密に言うと、上下の作業は別日にしたほうが良いです。漆を塗った箇所が何かに触れたまま乾燥すると、乾燥課程で触れたものにくっついてしまう恐れがあるからです。

作業が終わったら治具にカトラリーを納め、段ボール風呂の内側をお水入りの霧吹きで湿らせた中に入れます。段ボールの蓋を閉じた上に濡らしたタオルをかけて、直射日光の当たらない場所に置いてください。

金継ぎ 安先生

金継ぎ 安先生

この季節はだいたい一晩で乾燥します。

1回でもだいぶ印象は変わりますが、上記の作業を繰り返すほどに塗装の色は濃く、艶も出てきます。

完成の写真がこちらです。

金継ぎ 安先生

3回作業しました。白くなった部分ほどよく漆を吸い込みました。

また使っていくと白っぽくなってきますが、自然由来の塗料を使っているので安心ですね。

この漆を塗って拭き、乾かすという作業を「拭き漆(ふきうるし)」と言います。

長くなりましたが、作業自体は30分もかからず出来ます。

漆かぶれについては自己責任ですが、挑戦してみてくださいね。

PAGE TOP