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益子陶器市をまわり、鈴木稔さんのオープンアトリエへ

参加した翌朝、再び鈴木稔さんのアトリエへ集合し、

窯出しに立ち会いました。

 

鈴木稔さんの薪窯は2011年の震災のときに

倒壊し、2014年に再建しました。

再建してから5回目の窯を焚き、この日が窯出し。

窯を焚く度に試行錯誤して、自分が求める

焼き上がりになるように火の動きを研究します。

前回の窯焚き結果がよかったから、

今回も同じにした…とのこと。

窯の中の火をコントロールできるなんて、

わたしには想像がつきません。

 

なんにせよ、誰もこの窯の中の結果を知らない。

すごくいい焼き上がりかもしれないし、

思うようにはいかなかったかもしれない。

緊張と興奮の儀式です。

薪窯の窯焚きに立ち会ったことはありますが、

窯出しは初めてで、

実は楽しみすぎて、前の日はほとんど眠れませんでした。

 

入り口に積み重ねたレンガをゆっくりと

取り去っていきます。

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少しずつ中の様子が見えてきますが、

「まだ見ない」と鈴木さん。

早く見たいというはやる気持ちを抑えます。

 

入り口のレンガを取り去り、最初にみえた景色は、

たくさんの作品にかこまれて立つマリア様。

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マリア様がこの窯の中を守ってくれていたようです。

 

中の作品に手を伸ばして窯の外へだしてみます。

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とてもきれいな焼き上がり。

でもそれがOKなのか、NGなのか、わたしにはわかりません。

わたしの目にはいい焼き上がりに見えるけど、

鈴木さんはどうなんだろう。

 

窯から出した作品を外の光にあて、

角度を変えながらじっくり眺めます。

そのあと、満足気な表情。

安堵の瞬間でした。

窯出しを見学させていただくにあたって、

あまりよくなかった結果を聞いたこともあったので、

もし今回がそれで、鈴木さんの表情が曇りがちだったら

とてもいたたまれないので、鈴木さんにとって

満足の行く結果だったらいいなぁとずっと思っていたので

ほっとしました。

 

 

まだ熱い窯の中へ入り込んで、ひとつひとつ

作品を取り出し、アシスタントの方々が

かわるがわる受け取っていきます。

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みんながみんな受け取った作品をついついまじまじと見つめて

「いい色!」とか「かっこいい…」とか

言い合うので、なかなか進みません。

でも、これが楽しい作業。

これ、誰の作業?

あたしかもしれません!

いや、俺かもしれないなぁ…

なんて言い合いながら穏やかに進みます。

明るくてかわいらしいアシスタントさんたち。

いい工房でうらやましい。

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休憩で冷たいお茶を飲みながら、焼きあがった作品を眺めます。

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同じ釉薬でも、火のあたり方によって違う色合いになります。

黒に近かったり、青みが増したり。

美しいグリーンが、焼き過ぎると白っぽくなったり。

それがダメかというとそうじゃない。

どれもその作品でしか見られない

かけがえのない表情をしています。

 

よく聞く言葉ですが、

みんなちがって、みんないい。

なんだか人間に近いなぁ。

そうだ、そういうところに惹かれて、

面白みを感じてこの仕事を始めたんだと

思い出しました。

いろんなことを感じて、考えた時間でした。

 

500点余の作品を取り出し、

この中から趣佳で販売する作品を

選んでもいいですよ。

と言っていただいて興奮。

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 この色と形はあのお客さまに

喜んでいただけそう…

あー、これはきっと何枚あってもいい!

ていうか、うちに欲しい!

でも、この後、個展を控えてらっしゃるから、

新作を全部…なんていう取り方はできないな…

など、いろんなことを頭にめぐらしながら選びました。

 

趣佳のお客様に喜んでいただけるような

いい子たちをいただいてきましたから、期待していてください。

しかし、わたしが選ばせていただいた作品が

すべて届くかは鈴木さんの個展の構成次第。

この窯出しの数日後に個展を控えておられるのです。

実は今回はその個展用の作品をつくるための窯焚きでした。

どうかできるだけそのままで届いてくれますように!

 

 

その後、陶器市会場近くまで送っていただき、

平日で昨日とは打って変わった

人のゆるやかな陶器市会場を散策し、

益子訪問の度に行くんだけど、いつもお休みだった

ヒジノワでお茶休憩。久しぶりに入れました。

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その後、いろんな方から評判を聞いていたpejiteへ。

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古い蔵を改装したという雰囲気のある空間に、

メンテナンスの行き届いた佇まいのいい古家具が

静かにそこにありました。

この空間の中にいるだけで、しあわせを感じてしまうような

 お店です。益子訪問の際はぜひ!

 

そして、夜は下館駅へ移動。

翌日の笠間・陶炎祭ひまつりに備えます。

 

(つづく)

 

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